境界知能とグレーゾーンの違いは何?
境界知能とは、知能検査で測られるIQが70~84の範囲に入る子をいいます。人口の14%ほどと言われています。グレーゾーンとは、発達障害などのはっきりとした診断の範囲には入らないけれども、何らかの課題を抱える子のことを言います。トータルのIQは境界知能〜平均の範囲(85~115)ですが、発達凸凹と言われるように、特定の領域において苦手さが目立つことが多いパターンです。得意と不得意がはっきりしている子が多いです。
グレーゾーンは認知機能の弱さが部分的にみられる。
知能とは、いくつもの側面からその人を客観的に捉えるための一つの数値です。例えば、「見る力」が弱いと、学習面では板書が苦手であったり、周りの環境や相手の表情を読み取れません。「聞く」力が弱いと、先生の指示が適切に理解できずに、間違った行動をしてしまったり、お友達やお家の人との会話で何を話しているのかが実ははっきりと理解できないということがあります。また、「運動の協調性」の苦手さがあると、生活動作が不器用であったり、答えはわかっているのに筆記の回答で間違えてしまう、漢字をうまく書けないことがあります。
認知機能の弱さが脳と心へ及ぼす影響
大人から見てもパッと見は分からないことが多く、本人もなんだかうまくいかないという状態が起こってきます。一部分の認知機能の弱さは、学習場面でのしんどさだけでなく、自信のなさや、諦めやすくなるなど、物事へ取り組む姿勢にも影響してきます。「見る」「聞く」などの認知機能の弱さによって何が脳の中で起こるのでしょうか?人間の心の状態を決めるのは脳の前頭前野です。前頭前野は子どもの時から20歳までゆっくりと成長していきます。脳の中では進化の過程でも新しい部分とされています。対人関係では、相手が何を考えているのか、行動の背景や意図を伺うことを自動的に行なっています。認知機能が弱いと、情報を誤って受け取ってしまいがちになります。また人間は、経験にそぐわない場面に遭遇すると感情的に行動してしまうようになっています。それは大人でも同じです。それを制御して、ブレーキをかける役割をするのが前頭前野で行われるメンタライゼーションという機能ですが、発達段階にある子どもにはまだまだ未熟です。認知機能の弱さによる情報の受け取りの失敗や、日常のしんどさから生まれる感情・経験によってもメンタライゼーションは影響を受けてしまい、怒りやすくなったり、不安になったり、自分なんてと考えてしまい諦めてしまうことが起こってきます。
子どもたちのために必要なサポートのまとめ
まずは大人が子どもの行動の理由に気づいてあげることです。すると、大人側でもメンタライゼーションの機能が働き、子どもへも冷静に対応できるようになります。そして、子どもへはしんどさ、苦手さの背景にある能力的な原因を見極めたサポートが必要となります。自分の特性に合ったサポートを受けることで、「私もできる、大丈夫」の経験が作られていきます。それが、褒めて伸ばす指導が効果的であるとされる脳科学的な理由です。それぞれの子どもにあった学びの体験で、子どもの可能性を引き出して成長を見守っていくことが、境界知能・グレーゾーンの子どもには特に必要なサポートといえます。Study Lab Rootsは、境界知能・グレーゾーンの子どものための学習塾であり、脳科学、認知心理学のエキスパートによる新しいスタイルの学びが経験できる子ども発達サポートスクールです。