自閉症や発達障害の子どものお話のトレーニング
会話をするためには、言葉の力だけでなく、話の内容や相手のスピードに合わせて返答することを求められます。会話のキャッチボールを続けるためには、話している自分と相手がいることを意識し、話している内容が何であるのかを記憶に留めながら話す必要があります。そして、自分の言語の知識から言葉を見つけて表出する語想起の力も必要です。子どもの中には、お話したいことがどんどん思いついて会話の内容が逸れていってしまったり、話すタイミングがわからずに言いたいことを切り出せなかったりすることもあります。これはLCSA(学齢版・言語・コミュニケーション発達スケール)で紹介されている付箋を使った「メールごっこ」を参考にした指導法で会話を継続させるための練習プリントです。
会話練習プリントの使い方
練習プリントでは、まず初めに話題のタイトルを記入します。何について話しをしていたのかを忘れないようにします。また、読みながらゆっくりと理解できる、見返すことができることも可視化することの利点で、ワーキングメモリーに苦手さのある場合でも相手を意識しながら会話を継続する練習ができます。お話する人の名前を書くこともポイントで、話す相手が誰なのかを意識することで、話題や言葉使いも学べます。会話の内容を吹き出しに書き込みます。初めは、一問一答のようになってしまっても、そのことを一緒に振り返ることで得られる気づきもあります。また、吹き出しという枠によって、話したいことを絞ることもでき、相手からの返事を待たずに会話を投げ続ける連投を防いで、相手の反応を待つ練習にもなります。
子どもが日常でよく出会う場面に設定してあげると、会話のパターンを学ぶトレーニングにもなります。子どもの中には対人スキルをパターン学習してあげることで話しやすくなる子もいます。
会話練習シートを何枚か用意して、どんどん用紙を下に繋げて取り組んでみてください。慣れてきますと、付箋や小さなメモ用紙を交換し合うやり方でも練習はできます。